https://github.com/leinlin/fate
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- Host: GitHub
- URL: https://github.com/leinlin/fate
- Owner: leinlin
- Created: 2018-09-16T22:06:05.000Z (almost 8 years ago)
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## 序章
それは、稲いな妻づまのような切きっ先さきだった。
心しん臓ぞうを串くし刺ざしにせんと繰くり出だされる槍やりの穂ほ先さき。
躱かわそうとする試こころみは無む意い味みだろう。
それが稲いな妻づまである以い上じょう、人ひとの目めでは捉とえられない。
だが。
この身みを貫つらぬこうとする稲いな妻づまは、
この身みを救すくおうとする月光げっこうに弾はじかれた。
しゃらん、という華か麗れいな音おと。
否いや。目もく前ぜんに降おり立たった音おとは、真しん実じつ鉄てつよりも重おもい。
およそ華はなやかさとは無む縁えんであり、纏まった鎧よろいの無む骨こつさは凍いてついた夜や気きそのものだ。
華か美びな響ひびきなど有ある筈はずがない。
本ほん来らい響ひびいた音おとは鋼はがね。
ただ、それを鈴すずの音おとと変かえるだけの美うつくしさを、その騎き士しが持もっていただけ。
「問とおう。貴あ方なたが、私わたしのマスターか」
闇やみを弾はじく声ここえで、彼か女のじょは言いった。
「召しょう喚かんに従したがい参さん上じょうした。
これより我わが剣つるぎは貴あ方なたと共ともにあり、貴あ方なたの運うん命めいは私わたしと共ともにある。こに、契けい約やくは完かん了りょうした」
そう、契けい約やくは完かん了りょうした。
彼か女のじょがこの身みを主あるじと選えらんだように。
きっと自じ分ぶんも、彼か女のじょの助たすけになると誓ちったのだ。
月光げっこうはなお冴さえ冴ざえと闇やみを照てらし。
土ど蔵ぞうは騎き士しの姿すがたに倣ならうよう、かつての静しずけさを取とり戻もどす。
時じ間かんは止とまっていた。
おそらくは一いち秒びょうすらなかった光こう景けい。
されど。
その姿すがたならば、たとえ地じ獄ごくに落おちようと、鮮せん明めいに思おい返かえす事ことができるだろう。
僅わずかに振ふり向むく横よこ顔がお。
どこまでも穏おだやかな聖せい緑みどりの瞳ひとみ。
時じ間かんはこの瞬しゅん間かんのみ永えい遠えんとなり、彼か女のじょを象しょう徴ちょうする、青あおい衣ころもが風かぜに揺ゆれる。
差さし込こむのは僅わずかな蒼そう光こう。